予め失われた薔薇色のキャンパスライフ

 大学生を殺す本として有名な『四畳半神話大系』を読んでいる。まだセーフだろと思っていたが、今の僕には充分致死量だったようであり悶え苦しみながら読み進めている。結局明石さんとちんちんかもかもするのが許せないところだが、充分いろいろとひどい目にあっているようなので大目に見てあげてもいいのかもしれない。

 小津の像が非常に基底現実の先輩とかぶる。とにかく言ってることが大体同じな気がする。こんな先輩と懇意になってしまったからこそ、僕のキャンパスライフも惨憺たるものになってしまったのだろうか。ああ、新聞サークルなぞに入らず何か音楽にふれるなどしてみても良かったのかもしれない。神よ……などと言ったところで無駄なものは無駄。ひょっとしたら遠い世界、あるいはすぐ隣の世界でも僕はサークルの先輩の部屋に入り浸りながら他人の下半身の話を肴に酒を飲んで感情を五倍にしているのではないだろうか。

 そんなことを思いながら顔を上げるとそこは薄汚いシェアハウスの六畳間である。神話というよりは民話のような荒削りな珍事がそれなりに起こっているのだが、僕をシャキッとさせるにはもう少し何かがあっても良いのではないだろうか?そんなことを思える身分にはないほど仕事と慚愧が積み上がり目の前に立ちはだかっているのだが、現実から目を背けたくなるのは人の性、仕方がない。「なにか面白いこと起きないかな」と素で言ってしまうつまらない大学生に成り下がってしまった自分を呪うばかりである。

 

なんでこんな自意識をぶちまけているのかといえば、大学の新入生たちと出会ってしまったからだ。彼らの持つ可能性と、一年という時が過ぎる速さとをこの身に思い切り受けてしまった。とかく自己愛を裏返した自虐癖というのは不治の病であろう。